東京都現代美術館で開催中の
フレデリックバック展、
名和晃平-シンセシス展をみに行ってきました。
アカデミー賞を受賞した「木を植えた男」というアニメしか知らず、
特に興味を持っていなかったのですが、
展示では彼の代表作アニメをはじめ、絵画、テレビ番組の舞台美術製作、イラストに至るまで様々な分野に挑戦していることを知り、驚くとともに感嘆しました。
イラストのなかでも本の挿絵に至っては、自ら出版社に赴く時用に作成したデモ用作品も展示され、ここに文章のスペース、ここにこういうイメージで挿絵…と設定が細かい
見ていてどんな文章がここに入って、仕上がればどんなにキレイな本になるだろう…とワクワクするほど…(実現しなかったようで残念
)
愛する街の観光用のパンフに至っては、イラストとともに小さく手書きで「美しい村」という踊るレタリングもあり、愛情をこめて書き上げたことも偲ばれました。
実現化しなかったことが自分のことのように残念。
舞台美術でも、毎日変わるセットをテーマに合わせて創作から組み立てまでもひとりでやってのける、というくだりまで説明があり、
あらあら、まあまあ、この人はどこまで全力投球な人なんだと身の心配をしてしまうほど。
「木を植えた男」はアニメを見たのは初めてでしたが、こんなにメッセージ性の強いものとは知りませんでした。←このあたりにも思ったら一直線、という人柄が出ている。
他にもさまざまなイラスト、アニメが展示されてましたが、近代化にともなう様々なデメリットを揶揄する部分が見られ、活動に積極的な姿勢がうかがわれます。
はたして彼はよく語る人だったのでしょうか、それともこうした絵にその内面・思考を込めるかたちをとる、内に熱きものを秘めた人なんでしょうか。
名和晃平展では、造形を楽しんできました。
入って最初に目に飛び込んだのはメタリックな質感で細かなうねりが植物の蔦のように壁をはっていく大きな作品。不届きなワタシは「牙狼」の世界観にリンクさせてしまいました。
全部で13の部屋に仕切られた作品室が続き、鹿などの剥製に大小のビーズでびっしりと埋め尽くした大型作品などはその美しさにウットリ…貴和製作所にあったらいいな…と思わせる乙女ゴコロわしづかみの作品。ビーズひとつひとつを近くで覗けば、なかに封じ込めた鹿の毛並み、目などが拡大鏡のように映し出され、ちょっと離れれば対面にいる人が反転して写りこむ面白さ。
ヴィラスという作品群の部屋は発砲ポリウレタンを吹きつけた大きな造形が、青白く静かにそびえたっている、という印象。ひとつひとつが氷結晶のようでこのまま成長して変化していくのではないかと思わせます。照明もここだけ変わっていて、同じように展示を見ていく人たちがモノクロ写真のように色を亡くして見えるのです。見る表情が真剣であればあるほど、色の効果で鬱として何かにとりつかれたような雰囲気に。作品だけでなく、人まで見入ってしまいました。
リキッドも人の感覚を麻痺させるような作品。家にこんなのがあったら、きっと無表情にいつまでも眺めてしまうかも…と思わせるような、揺らいでいるのに安定したイメージを持たせます。ポコッポコッ…と粘着質な虹色の泡が出来てはじける繰り返しは、そのうち何かが生まれ出てくるかも…とその先を色々考えてしまいます。
次から次へとまったく違う素材を使った作品を魅せるこのお方、一体どんな人?
写真がないので想像に駆られます。
長々と美術館で涼んだ後は、駅までの道をのんびり歩いていきます。
先週のドラマ「ドンキホーテ」でカメラのシャッターを切る女の子のシーンに影響されたか、長男と次男がその道すがら気になるものを次々と撮っていきます。
まずは出てきた美術館。
歩道脇のモニュメント。
同じく歩道脇の柱の鳩さんのおしり。
街路樹に脈絡なくぶら下げられた
様々なもの。
ベンチに申し訳なさそうに座る
大きなピーマンくん。
焼き鳥やさん、とおぼしきお店のテナント。
キラキラお目目の鶏たち。
焼かれちゃうのに、
なぜそんなにキラキラと輝いている?
色遣いは、ザ・昭和。
そしてそのすぐ隣には…
お洒落~な雰囲気を前面に出している
本屋さん。
木箱を使う様子もこなれた感じがあって素敵。覗いてみたかったけど、スタスタわが道を行く主人ははるか前を遠く歩き、声をかけるにもはばかれる…
残念。
途中、長男次男とでどっちが長い時間カメラを持っているでワイワイ揉めていたが…
暑苦しく、ほおっておきました。
最近のコメント